AppleのCEOが825億円のボーナスをもらうことは正しい?
AppleのCEOが825億円相当のボーナスが支給されたということで、先日ニュースになりましたがこのことがかなり話題になっています。
金額としたら常識レベルを超えた金額っていうことになりますが、企業規模や実績から考えるとどうなのかというところもありますし、昨今進んできている格差社会という問題に関して一人の人間がこれだけの報酬をもらうというのはどうなのかというような話も出てきています。
海外の一営利企業の話に対して口を挟むのはどうかというようなこともまたあるかと思います。今回いろいろな話が出てきていますので皆さんという観点で話しているのかというのをチェックしてみました。
大前提は海外の民間企業の話
AppleのCEOのボーナス・給料が高すぎる!ということで文句を言いたい人はたくさんいるようですが、大前提としてこの海外の民間企業の話であり、日本でも公的機関でもなんでもありません。さすがにこれは理解している人が大半だと思いますが高すぎて許せないというような論調はどうかというところがあります。
日本の法律が及ぶ範囲でもなければ公的機関でもありませんので税金が投入されているものでもありません。完全に個人の自由、企業の自由で決められる話であり、もし不満なのであればその会社で働かなければいいだけの話であり、方針が気に入らないのであればApple製品を買わなければいいだけのことです。
それでも世界中でこれだけApple製品が売れているというのは凄いことです。製品に魅力がある、単純な商品性能だけではないブランドがそこに存在しているということであり、その製品を日本人も大半の人がありがたがって使っていて、給料に文句を言うというのはちょっと違うのではという感じはあります。
自分と比較して高すぎる、一般人と比較して高すぎるというのは何の説得力もない話であり、比較している対象が違いすぎますし、まず同じ土俵にきてから比較してくださいということになると思うのです。
これはAppleだけの話でなく、日本企業でも政治家の給料でも似たような話は多く出ますが、単純に自分と比較してというのは視野が狭すぎるように思えてしまいます。
製品が高いという苦情まで書いている人がいますが、それはマーケティングの話であり、高ければ買わなければよく、安く売らなければいけない義務というのはどこにもありません。
企業価値としてその額はどうなのか
本当にそれだけの給料を出すのが正しいのか。これは第三者が決めることではなく、運営側が決めればいい話であることです。
ただ価値的に見てどうなのかというのを見た場合、昨今ではGAFA4社で日本企業全体の時価総額を超えたというような話が出てきています。
単純計算になりますが日本の上場企業数を4000社とした場合、Apple1社で1000社分の時価総額を持っているということです。その企業のトップがもらう収益が数百億だろうと、本当にその金額に対して高いと言えるようなものなのでしょうか?
ジョブズのような創業者ではないというようなコメントもありましたが、その後もこれだけの企業収益を維持できているのであれば、十分この金額をもらうのに値しているのではというようにも思えてしまいます。
アメリカンドリームということで日本とは異なるということで良い目で見る人もいます。成功した人を叩くのではなく素直に賞賛するということも必要なのではと感じます。
格差問題は考えた方がいいかもしれない
今回の企業としてこの金額が妥当かということについては自由という立場ではありますが、格差問題というのは考えた方がいい部分ではあります。
アメリカであっても上位1%の人が富の大半を握っているのが現状。決して全員が豊かに暮らしているわけではなく1億人レベルの貧困層がいるという話があります。
貧困なのは努力をしていなかった、努力をすれば稼げるのだからそうしなかった人が悪いというように資本主義をそのまま当てはめるには格差が開きすぎてしまっている、頑張ってもチャンスがないという人、頑張れるための環境が用意されていないというのもあるでしょう。
高額納税者は多額の寄付も行うのがアメリカの標準的な流れになっていますし、その寄付で助かっている人も多くいますので、今の状況を完全に否定したいというわけではありません。
ただ格差は開きすぎて、単純な税金徴収以外の弱者救済策、平均を上げていくような仕組みがないと、社会崩壊に繋がりかねないというところがあります。これはアメリカだけではなく日本も同じで、ここまでの給料をもらう人は少ないとしても、格差は開き続け、普通に一生懸命働くだけでは豊かに生活できないような状況が進んできているようにも思われます。
だからといって、今回AppleCEOがもらう給料を従業員に分けたらどうでしょうか?おそらく最初からAppleに勤務している従業員はすでにエリートとしての給料をもらっている人ばかりであり、給料アップに繋がったとところで従業員は嬉しかったとしても格差解決には何も繋がることはないでしょう。
結局Appleの給料がどうかを論じたところで格差社会問題の一つを指摘することはできても解決には結びつかないということです。
市場が決めていくこと
AppleのCEOの給料を減らしたからといって格差解消に結びつくわけでもなければ、製品価格が安くなるわけでもなく、結局民間企業のことをどうこういっても仕方がないのです。
Appleに関しては今後も未来永劫無敵状態が続くというわけではありません。今のiPhoneに関しては機能の進化が止まりつつある状況もありますし、android勢に負け始めている要素もたくさんあります。
いつまでも世界中の人が今と同じシェアでApple製品を使い続ける保証はなく、ブランド力が落ちれば、製品機能の競争力が落ちていけば今のポジションではいられなくなります。今の状態を守り、製品を進化させていくには、今の大勢が必要だと判断しているということ。
日本人で無関係の人がこの給料について、社会問題として意見を上げるのはいいのですが、ただ高すぎるというだけの批判は意味を無しませんし、もっと考えなければいけないのではと思うのです。